合同条件一覧
普通の三角形の合同条件
①3組の辺がそれぞれ等しい
3つとも辺が等しければ合同である。…この条件に疑う余地はないですね。
②2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
絶対「2辺の間の角」でないといけません。詳しくは後ほど。
③1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
絶対「両端の角」でなければならないのか?…というと、そうでもありません。詳しくは後ほど。
直角三角形の合同条件
④斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい
直角三角形の合同条件は必ず「斜辺が等しい」ことが必要です。それはなぜか?
⑤斜辺と他の一辺がそれぞれ等しい
なぜこれで合同だと言えるのか?後で紹介します。
合同条件はこの5つです。
直角(90°)の角を含まない三角形の場合は①~③から1つ選択。
直角三角形の場合は①~⑤から1つ選択して証明の合同条件に書くことになります。
合同条件を深掘りします
「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」はなぜ「間の角」じゃなければならないのか?
「2組の辺の間の角」ではない角が同じだったとしましょう。もちろん、それで合同の場合もあるでしょう。しかし、合同ではない場合も存在します。下の図をご覧下さい。
青の線、赤の線は同じ長さです。そして、赤の線の右側の角度も同じです。
2組の辺と1つの角は同じですが、ご覧のように2つの三角形は合同ではありません。
このような場合が存在するから、「必ず合同になる」とは言えないのです。
しかし、この図のように、赤の線と青の線の長さが決まっていて、間の角が決まっていれば、三角形を作るには、線の端同士を結ぶしかありません。どうやっても同じ三角形(合同な三角形)になってしまうのです。
だから、2つの三角形が「必ず」合同であるためには、「2組の辺の間の角」であることが必要になります。
逆に言えば、「間の角」でなければ、「必ず合同」とは言えないのです。
「1組の辺とその両端の角」だけで本当に合同だと言えるのか?
下の図をご覧下さい。
1つの辺の長さを決め(青線)、その両端の角度を決めて三角形を書くと、他の2辺も方向が決まります。
その方向にまっすぐ線を書いていくと、2つの辺が自然に交わる点ができます。
つまり、どうやっても1つの三角形しか書くことができないのです。
しかも、2つの角度が決まっているということは、三角形の内角の和は180°なので、もう1つの角度も決まります。
結局、2つの角が同じということは、3つとも角が同じということなのです。
さて、3つとも角が同じなのに合同でない図形はどういう図形でしょうか?
それはこういう図形です。
形状は全く同じですが、辺の長さが違うのです。
だから合同であるためには「1組の辺」の長さが同じであることが要求されるわけですね。
逆に言えば、必ずしも「両端の角」が分からなくても、2つの角が等しければ、もう一つの角も必ず等しくなります。1つの辺が等しくて、2つの角が等しければ両端でなくても理論上合同が成立します。
斜辺とは?
直角の向かい側の辺を「斜辺」と言います。
「ななめに見える辺」ではないので注意してください。
このような三角形でも「斜辺」は直角の向かいの辺です。
直角三角形の合同条件を使うには、この「斜辺」が重要になります。斜辺の位置を間違いなく覚えておきましょう。
なぜ斜辺と1つの鋭角が等しくないと合同にならないのか?
「鋭角」とは?なぜ「鋭角」なのか?
0°より大きく、90°より小さい角を「鋭角」と言います。
直角三角形の場合、1つの角度が必ず90°なので、あと2つの角度は合計で90°にならないと三角形にはなりません。
つまり、90°を2つに分けるので、どうやっても「鋭角(90°より小さい角)」にしかならないのです。
それならいちいち「1つの鋭角」って書かないで「1つの角」だけでいいじゃん!
おそらく、直角三角形には必ず「直角」があるから、それと区別するために「鋭角」と書くのでおじゃろう。
そういうこと?なるほど。
「斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい」の深掘り
下の図をご覧下さい。
このように、直角三角形の斜辺の長さと方向が決まったとしましょう。
そうすると、斜辺の向かい側が直角になるのが直角三角形なので、線の両端から出る線は1つに決まります。
ご覧のように斜辺の長さが同じでも、角度が変わると違う三角形になります。だから1つの角が同じであることが必要なのです。
直角以外の1つの角が同じなら、三角形の内角の和は180°と決まっているので、もう1つの角も必ず同じになります。ですから、三角形は絶対合同になります。
「斜辺と他の一辺」が等しいとなぜ合同になるのか?
このように、斜辺と他の一辺の長さが決まったとしましょう。
そうすると、斜辺の向かい側は直角にしなければならないので、長さが決まった一辺の方向と、それ以外の辺の長さ、方向が全部決まってしまいます。
つまり、直角三角形なら、斜辺と他の一辺の長さが決まっただけで合同であると言うことができるのです。
直角三角形の合同条件はなぜ「斜辺」が必要なのか?
理由は簡単です。斜辺以外なら直角三角形の合同条件を使う必要がないからです。
下の図をご覧下さい。
図のように、斜辺ではない1つの辺が等しかったとしましょう。
「斜辺と1つの鋭角がそれぞれ等しい」の合同条件では、1つの角が等しいことが必要になります。それを図でオレンジ色で示した角とします。
そうするとこれは「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」で合同だと分かります。
つまり、直角三角形の合同条件を使う必要がないのです。
別の角が等しいことが分かったとしましょう。
この場合でも、2つの角が等しいなら三角形の内角の和でもう一つの角も等しいことが分かります。
だから結局1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」で合同だと分かるのです。
それなら直角三角形の合同条件を使う必要がないですよね。
斜辺以外の一辺と他の一辺が等しかった時のことも考えましょう。
図をご覧いただいても分かるように、斜辺以外の辺が等しいということは、その間の角は直角で等しいので、「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」で合同だと証明できるのです。
それなら別に「斜辺と他の一辺がそれぞれ等しい」を使う必要はないですよね。
直角三角形の合同条件がなぜ「斜辺」でなければならないのか?
それは、
「斜辺」以外なら他の合同条件で証明できるから
です。
つまり、三角形の3つの合同条件以外にも、直角三角形のときに限って「斜辺+1つの辺or1つの角」が分かれば合同だって証明できるよ!というふうに、証明できる範囲を広げてくれているありがたい(?)条件だということです。
とは言っても、辺か角の最低3つの条件(辺は最低1つ以上)をそろえないと合同だということができないことには変わりありませんけど。
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