天才や秀才だって、みんな「1つ」を積み上げて行くのです。その「1つ」の積み上げ方についてお話します。
成績が伸びやすい人・伸びにくい人
私は20年以上、個別指導塾の講師として生徒1人ひとりと接してきました。
その中で成績が伸びやすい人、伸びにくい人の傾向がはっきりしていると感じています。
それを表にまとめました。
成績が伸びやすい人 | 成績が伸びにくい人 | |
取り組む姿勢 | 積極的 | 消極的 |
問題を間違ったとき | なぜ間違ったのかを確認する | 何かの理由を付けて「惜しい」ことにする |
細かい暗記もの | 労を惜しまず覚えようとする | 面倒くさいから後回しにする |
裏技 | なぜそうなるのかを考える または説明を求める | やり方だけを覚えようとする |
自主勉強ノート | 分からない所を率先して進める | その辺の材料をただ書き写す |
宿題の取り組み | 間違った所を確認しながら 丸付けをする | 答えを書き写して適度に間違いを作り 丸付けをする |
テスト勉強 | 覚える工夫をして、 本当に覚えたかを確認する | ただ教科書を書き写して、 書いたことに満足をする |
…と、まとめてみましたが、「こんな風にできたら成績上がるんだろうな」と、多分多くの人が分かっていると思います。
学生は大人が思うほど暇ではありません。
部活があるし、友達との付き合いも大切にしなきゃいけない、学校で話を合わせるためにはテレビやYoutube、その他SNSなども見ておかないといけないかもしれない。勉強しなきゃいけないとは思っていても手が回らないことだってあるかもしれない。
だから、すべてをすぐに実践しようとしなくても良いと思います。疲れて三日坊主になる可能性が高いです(私がそうでしたから)。
何か1つでも、昨日より理解できたものが増えるだけでいいです。
ここで重要なのは「覚えたもの」ではなく、「理解できたもの」ということです。
「覚えた」と「理解した」
例えば、数学の公式を1つ「覚えた」としましょう。
それは、ただ単に「暗記した」だけです。
暗記しただけのものは忘れやすく、使わない期間が長くなればなるほど
「あれ?なんだっけ?」
となってしまいます。
しかし、その公式がどういう理屈で成り立っているのかを完全に飲み込み、問題練習をして解法も身に付けて「理解した」としましょう。
それは恐らく、ずっと忘れることはありません。
そういう1つひとつを積み重ねていくことで、確実に成績は伸びます。
つまり、成績を上げるために必要なことは、「絶対1つのことを完璧に理解する」という信念です。
そのためには、知識を定着させるために練習し、間違ったらなぜ間違ったのかを考え、確認することが必要になってきます。そうすると、自然と「成績が伸びやすい人」の勉強法に近付きますよね?
トライ&エラー(挑戦と失敗)
挑戦しては間違い、間違っては挑戦する。そういう姿勢が必要です。
そういう姿勢を作るための心構えは「疑問を持つこと」です。
なぜ間違ったのか?なぜこの問題はこの方法で解けるのか?なぜ違う方法では解けないのか?など、モヤモヤした部分をすべて解消して「分かった!」に変えることが重要です。
裏技も時には良いです。画期的な解き方は覚えておいて損はありません。でも、「表があるから裏はある」のです。
裏だけでは成り立たちません。裏を確実に覚えるためには、その表側=正攻法を理解しなければ、間違った使い方をしたり、どの場面で使うのか分からなくなったり、そして結局は忘れたりするのです。
とはいえ、いつも理屈から完全に「理解できる」わけではありません。
数学の公式などでも、中学数学での公式を完全に理解するには高校数学の知識が欲しかったりすることもあります。
社会や理科の用語などは「理解する」ための理屈がない場合もよくあります。
そういうものはただ「覚える」しかありません。だから暗記は必ず必要になります。
しかし「覚える」は「忘れる」と表裏一体です。
使わなければすぐに忘れるでしょう。
だから復習が必要なのです。
確実な「理解」と不確実な「暗記」。
「トライ&エラー」でその二つが結集した時に成績は必ず上がります。
積極的かつ徹底的に仕上げる1問!
もし1年間毎日勉強すれば、1日1つ理解できれば、1年で365の理解ができます。週休2日で勉強しても、260の理解ができるのです。
勉強は時間ではありません。どれだけ「1つのことを理解できたか」です。
もし10分で1つのことを完璧に理解できたら、その日の勉強時間は10分でも良いです。
逆に2時間、3時間かかっても理解できなければ、それ以上勉強しなければならないかもしれません。
「2時間とか3時間とかかかるの?」
そう思う人もいると思います。しかし、積極的に「理解しよう」と思って消費する時間は、不思議と長く感じません。楽しいことを集中して何時間もやっている感覚に近いものがあります。「勉強して大変だった」という感覚がなく学習ができます。
私は数学の練習問題の第1問の問1を1問解くのに4時間かかったことがあります。解説を見ても納得できなくて、参考書を調べたり、同じような問題を確認してみたり、お風呂に入りながら考えたり…。今のようなネット環境もなかったのでそういう方法しかなかった、というのもありますけどね。
英語の教科書1ページ10行程度を訳すのに3時間かかったことがあります。辞書の例文を見て同じような表現がないか調べたり、挙句の果てにはinとかofとかまで調べたり…。
でも、その1問が、その1ページが完璧に仕上がった時の達成感は半端じゃないです!
完全に理解できますし、次の理解、その次の理解が、確実にしやすくなります。
そうやって自分が調べたことを自主学習ノートに書けば、ノート何ページ分、何日分の自主学習になるでしょう?「ノート何書こう?」みたいに思って、テキトーに書き写すような「無駄な時間」もなくなります。
積極的に、そして徹底的に1問を仕上げる勉強法。やってみませんか?
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